金物商が軒を連ねる(2014年10月 @ハノイ旧市街)
新興経済諸国,特に東・南アジア諸国に対するオフショアリングは,複雑な判断を含まない単純な業務を移転する段階から,複雑な判断を含む業務を移転する段階に入っていると思われます.エンジニアの労働が後者の典型例の一つであることは言うまでもありません.これは,世界経済の重心が東・南アジアを含む新興経済にシフト(ないしは,復帰)するという構造変化を背景とした,ある種の不可逆性を持った変化だと考えられます.そうだとすると,エンジニアのような,「構想する労働」に雇用創出・維持の役割を期待する先進諸国は,早晩,根本的な対応を余儀なくされることになると予想されます.
そこで,進出した日系企業が現地で行っているエンジニアリング業務の「高度化」「現地化」の実態と,本国での対応について,まずはベトナムを具体的な対象として,共同研究者の方々,また研究室学生諸氏と一緒に調査研究を行っています.