トゥルク大学で

写真は2011年3月のもの.トゥルクはかつての,スウェーデン治下のフィンランドの首都で,今でも(相対的に)スウェーデン語人口が多い,フィンランド南西岸の都市.古都らしく,人々の気位が高いというのを聞いたことがある.そういえば一緒に議論をしたトゥルクの研究者達も,最近の政府の「イノベーション戦略」に対して批判的な意見を持っていて,意外な感じを受けた.というのも,ヘルシンキで話をした研究者達は概して,それを好意的に受け止めていたから.そういうことも含めて,個人的に興味関心をそそられる都市である.

 

壁面には「自由な知識へ向けた,自由な人民の贈り物」と書いてある.どういう背景があってこれが刻まれたのかは分からないし,現在の大学の実態も定かではないが(事実,つい最近行われた大学統合や法人化に対しては,反対意見がいくつも聞かれた),古きよき教養理念の大学らしい「いかにも」な標語で,さすが堂々としたものだなと,感じ入っておりました.

 

ちなみに,キシリトールが生まれたのもトゥルクだとのこと.それが大学からいかに生まれ,産業化していったのかを丹念にたどった研究発表を,たまたま鉢合わせたセミナーで聞くことができた.その内容はまたの機会に譲りたいが,夕方に終わったセミナー後に「懇親会」(=要するに「飲み会」)もなく,三々五々みなが帰宅するというのは,日本とは違うパタンで,個人的にはとてもフィンランド的なあり方だと思えて印象的だった.ちなみにこのパタンは,3月に滞在したFIOH(Finnish Institute of Occupational Health)でも一緒で,短いランチ(30分程度!)を共にしてバイバイ,であった!